霞始靆|かすみはじめてたなびく|花粉症対策|2024年|七十二候

歳時記

霞始靆 かすみはじめてたなびく




この時期、三寒四温を繰り返しながら春本番へと歩を進めていますが、一方、時折大雪が降ることもあり、印象的には一進一退と言ったところでしょうか。
そのような気候の中、七十二候は24日より雨水の次候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」となります。天高く雲雀が舞い飛び、南からの湿り気を帯びた風が春の訪れの足音を大きくしています。
そして23日は「天皇誕生日」祝日です。
天皇誕生日についての記事は、風物詩の方にアップしておきましたのでご一読ください。



霞始靆(かすみはじめてたなびく)



春ならでは「霞(かすみ)」がたなびき始める頃です。
この「靆(たなびく)」は霞や雲が層をなし、薄く長く漂っている様子を表していて、棚引く、棚曳くとも書きます。
霞は気象学的には定義の無い言葉で天気予報などでは使われませんが、一般的には、春になり大気中の細かい水滴や塵が増えて遠くの景色がかすんで見える現象を「霞」と呼んでいます。
「霞」と「霧」はその発生のメカニズムは物理的には同じ現象なのですが、霧は気象用語にもあり、水平方向の視程が1㎞未満のものを「」といい、1㎞以上10㎞未満のものを「靄(もや)」と呼んでいます。



霞始靆 かすみはじめてたなびく




気象的にはその時の視程によっても分けられている霧ですが、春に遠くに薄くぼんやりとたなびくのは「霞」で、秋に近くに深く立ち込めるものを「霧」として、別々に春の季語、秋の季語ともなっています。



このように発生する時期によってその呼び名を変える日本人の感性にはあらためて感心します。
また「霞」は「たなびく」に対して、「霧」や「靄」は「立ちこめる・かかる」と表現していることが多いようです。



昔の人は山のすそ野にうっすらと広がる春霞は春を司る神様「佐保姫(さおひめ)」が織り出しまとった着物に例え、「霞の衣」という表現で霞がかかっている様子を衣に見立てました。どこか柔らかで、のどかな印象を与えてくる春霞の幻想的な景色は、枕草子第一段でも書かれているように「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは(わ)、すこしあかりて、紫だちたる 雲のほそくたなびきたる」の光景をつくりあげます。



佐保姫と竜田姫



余談ですが、古来その絶景で名高い竜田山の紅葉は竜田姫が染め上げたもの、佐保山を取り巻く薄衣のような春霞は佐保姫が織り出したものと和歌に歌われています。



佐保姫



佐保姫はその名のとおり東大寺にほど近い佐保川の北部に位置する「佐保山」に宿る神様です。
五行説では春は東の方角にあたり、平城京の東に佐保山(現在の奈良県法華寺町法華町)があるために、そこに宿る神霊・佐保姫を春の女神と呼ぶようになりまた。
白く柔らかな春霞の衣をまとう若々しい女性と考えられ、霞の衣をまとった「春の女神」とされ、機織りや染織が得意だと伝わっています。



竜田姫



五行説では西は秋に通じ、平城京の西に位置する竜田山(現在の奈良県生駒郡三郷町の西方)の神霊が秋の女神としての神格を持ったものです。
竜田山を彩る鮮やかな緋色や黄金の秋の草木の錦を纏った妙齢の女性と考えられ、こちらは「秋の女神」として、佐保姫と同様に機織りや染織が得意だったと伝わっています。
その染色でも竜田山の紅葉の美しさから、紅葉を赤く染める女神として染色が得意ともされていました。
また「竜」が「裁つ(たつ)」に音が似ているため裁縫の神としても信仰されてきました。



朧(おぼろ)・朧月・朧月夜



皆さんは「霞」という言葉は日中のみ使われる言葉ということをご存じでしたでしょうか。
この「霞」、夜になると「朧(おぼろ)」という言葉に代わります



朧月夜




「菜の花畠に、入日薄れ、
見わたす山の端は、霞ふかし。
春風そよふく、空を見れば、
夕月かかりて、にほひ淡し。



里わの火影ほかげも、森の色も、
田中の小路をたどる人も、
蛙かはづのなくねも、かねの音も、
さながら霞める 朧月夜。」



と歌われる高野 辰之作詞の唱歌はご存じの方も多いと思われます。
この歌の歌詞の素晴らしさは、ただ単に日本の美しい春の情景を断片的に並べただけではなく、歌詞の中に日本の春の夕日が沈み日が暮れ始め、しだいに夜になってゆく「時間の経過」が脳裏に浮かんでくるように的確に表現されていることだと思います。



花粉症対策



春の気配に誘われ心もウキウキしてくる時ではありますが、この時期、花粉症にお悩みな方々は憂鬱な季節でもあります。
今年も不気味に拡大している感染症とも重なり、完璧な予防対策は難しいこともありますが、換気などを除けばほぼ同じ対応で良いようですので、新型コロナやインフルエンザなどの感染症と花粉症の二面作戦で乗り切りましょう。
と同時に現在のコロナウィルスは軽症や無症状の方も多く、花粉症の症状とコロナの症状が似通っているため、注意が必要のようです。



室内の換気



室内の換気ですが、外からの花粉の流入を防ぐため締め切りにしている方も多いと思いますが、新型コロナウィルス感染防止には、やはり室内の換気は必要です。
わずか10センチほどでも十分に換気は可能ですし、網戸やレースのカーテンを閉めておくことで花粉の流入を50%低減できるようなので試してみたらいかがでしょうか。



花粉症対策にも不織布マスク



花粉を99.9%ガードしてくれる超高性能なマスクなどが数多く販売されています。花粉は粒子が大きいので特殊なマスクでなくても侵入を防ぐことができますが、どんなに高性能なマスクでも顔に密着していないと意味がありません。購入の際には自分に合ったサイズや形状のものを選びましょう



マスクの使い方



1.正しい向きで使いましょう



必ずプリーツが下を向いているほうを外側に向けましょう。
外側のプリーツが上向きになるように装着してしまうと、プリーツによってポケットができ、付着したウィルスが繁殖しやすくなったり、花粉が溜まりやすくなってしまいます。



2.しっかり密着させて使いましょう



着用する時はマスクを顔に密着させることです。
鼻が出ていたり、アゴがはみ出していては効果が損なわれてしまいます。鼻と頬、アゴの部分に隙間ができないように覆いましょう
ワイヤー入りのマスクは着用後、鼻の形に合わせてワイヤーを折り曲げ、隙間をなくすことも重要です。



3.外す時、捨てる時にも気配りが必要



顔を覆っていた面に触らないように、耳ゴム/耳ひもを持って外しましょう
捨てる際にもマスクに触れないようにゴムやひもの部分を持ったまま、ビニール袋か蓋つきのごみ箱に入れて捨ててください。
そしてその後はすぐに手洗いをしましょう。



花粉症対策 不織布マスク




衣類の工夫



衣類もウールなどは避け、綿やポリエステルなどの表面のツルツルした化学繊維で花粉が衣類に付着するのを少なくする素材を選ぶ方が良いです。
また洗濯の際は、静電気の発生を抑制する柔軟剤を使用することも効果的です。



その他の対策



女性の場合、メーキャップも意外と意識されない方も多いのですが、やはり素肌では花粉が肌に付着しやすいので、べたつかないパウダーファンデーションやフェイスパウダーで肌を覆いサラッとさせてる方が良いようです。



結詞



陽気は少しずつ春に向かっている気配も感じられ、ホッとしたのも束の間、これからはまた花粉症の方々にはまた憂鬱な時期を迎えます。今年は昨年よりはやや少なめのようですが、依然として例年よりは飛散量が多いようですので、万全の備えをしながら、楽しく春を迎えたいものです。



草木萌動 そうもくめばえいずる




月も変わり、七十二候は3月1日より雨水の末候「草木萌動(そうもくめばえいずる)」と移り、春への期待も芽生える頃となっていきます。



また、3月3日は「桃の節句」「上巳の節句」。
いわゆる「ひなまつり」です。



ひなまつり 桃の節句 上巳の節句

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