大雪|閉塞成冬|たいせつ|そらさむくふゆとなる|2023年

大雪 閉塞成冬 たいせつ そらさむくふゆとなる 歳時記

大雪 たいせつ 閉塞成冬 そらさむくふゆとなる




朝晩だいぶ冷え込みを感じ始めました。7日より暦では二十四節気は「大雪(たいせつ)」、そして七十二候は「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」と「冬」の文字が入ってきました。
新しい年の準備をはじめる「正月事始め」もこの時期から行われます。



大雪(たいせつ)



閉塞成冬 そらさむくふゆとなる




大雪とは本格的に冬が到来するころ。気圧配置も西高東低の状態がはっきりとしてきて、山々は雪に覆われ、平野にも雪が降り積もります。
木々の葉もすっかり散り終え、いよいよ冬将軍の足音がはっきりと聞こえてきます。



日中は暖かいこともありますが、朝晩は冷え込みが厳しく、池や川には氷を見るようになります。
ニュースでも北日本や日本海側の地域に大雪や暴風雪への注意喚起の報が流され冬色が鮮明になってきました。
11月18日に大分県の由布岳では昨シーズンより13日早く、平年より11日早い「初冠雪」が観測されました。



冬の寒さが日ごとに加わり、動物たちも冬ごもりを始め、鰤 (ぶり) 鰰 (はたはた) など冬の魚の漁も盛んになります。



閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)



大雪 閉塞成冬




七十二候は大雪の初候「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」と移り、天地の気が塞がれ、空から色が消え、灰色の雪雲が空に立ち込め日差しを遮り今にも雪が降りそうな天気が続きます。
山は雪化粧、平野部には寒風が吹きすさび、本格的に冬一色の景色が広がります。
南国イメージの強い九州ではありますが、玄界灘に面している地域や九州内陸部は本州の日本海側や北日本と同じような気候となります
とりわけ玄界灘に面している地域は思いの外「日照時間」が短く初めてこの時期に訪れた方々はその寒さに驚かれています。



寒気の吹き出しに伴う空模様は愚図つき気味で、重く広がった灰色の雲が空を塞ぎます。
今にも雪が降り出しそうな空模様を「雪曇り」と言います。



特にこの時季の日本海側の空は、この言葉がぴったりと当てはまります。
その空からは雪にまでならなくても、ヒットした歌の名前で聞き覚えのある方もいらっしゃると思いますが「氷雨」と呼ばれる冷たい雨の降る日も多くなります。



冬日・真冬日



冬日 真冬日




さて、ニュースや天気予報で「冬日」「真冬日」という言葉を耳にする機会も増えてきますが、その定義は以下のようになっています。



冬日・・・・最低気温が0℃以下真冬日・・・最高気温が0℃以下



ちなみに夏日は最高気温が25℃以上の日、真夏日は最高気温が30℃以上の日と定義されています。



雪の名前



雪と猫




雪に関しては、その状態から、淡雪や細雪、ぼたん雪やべた雪など、日常でも様々な表現や呼び方が使われますが、降雪と積雪ではまた異なる言葉があり、降雪では、乾雪(かわきゆき)として灰雪・粉雪・玉雪・綿雪の4つ、潤雪(ぬれゆき)として綿雪・濡雪・水雪の3つを挙げる分類もあるようです。



私は雪のニュースを聞くたびに新沼謙治さんが歌っていた「津軽恋女」の
『津軽には七つの雪が降るとか~こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪 みず雪 かた雪 春待つ氷雪』
という一節が思い浮かびます。



これは太宰治の小説『津軽』の巻頭の「津軽の雪 こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪 ざらめ雪 こおり雪」からきているものです。



もちろん気象用語の中で探してもみあたりません。これら雪の名前は自然や季節の風情を大切にしてきた日本人ならではの「雪の名前」なのです。
実際調べてみると100種類以上あると言う方もいらっしゃいます。



それに降り方、積もり方、降る時期などで細かく分かれています。



そこでここでは「津軽の雪」の七種類だけまとめておきたいと思います。



こな雪(粉雪)



さらさらした粉末状で乾燥した雪
寒冷地に多い雪でパウダースノー、アスピリンスノーとも呼ばれる



つぶ雪(粒雪)



粒上の雪。シーズンの初めや終わりに降る雪



わた雪(綿雪)



手でちぎった綿の様な水分を多く含み重みのある雪



みず雪(水雪)



降ってくる時に融解が始まり、もち雪やべた雪と呼ばれる雪より水分が多く含まれている雪



かた雪(堅雪)・・・積雪の状態



日中一度溶けかかった雪が、夜間の寒さでまた凍り付き堅くなった雪



ざらめ雪(粗目雪)・・・積雪の状態



日中に溶け、夜になって再び固まることを繰り返して出来たザラメ糖状態の粗い雪



こおり雪(凍雪)・・・積雪の状態



粗目雪の凍結した積雪で固まって氷のようになった状態の雪



このように降り方、降る時の形状、そして積もった後の状態など事細かく観察し言霊を大切にする日本人ならではの表現の数々です。
季節や気候の言葉の中には他にも奥深い表現をたくさん持っているものがあります。



鰤(ブリ)



そんな時節ではあるものの美味しくなる旬の食材というものもあります。
そのトップに挙げられるのは鰤ではないでしょうか。



鰤 ぶり




正確には寒の期間中(今シーズンで言えば来年の1月6日から2月3日)の間に獲れる鰤を指すそうですが、寒さが増してくる11月末~2月はじめまでの時期に水揚げされる脂肪がのり丸々と太った天然の親ブリのことを総して「寒ブリ」と呼んでいます。



春に九州など南の海で産卵をした後、豊富なエサを求めて対馬海流に乗って北海道まで北上して、そして水温が下がる秋以降には再び産卵のため五島列島付近を目指して南下してきます。



そのころには若干脂は移動などで消費され少なくはなっているもののそれでもまだまだ脂がのって美味しい鰤が戻ってきます。



最近では、海水温の上昇の影響か、「氷見の寒ブリ」でその名を轟かせる富山県や同じく富山湾に面する石川県、新潟県の漁獲量は減少傾向で、全国一位の漁獲高を上げているのが北海道だそうです。ちなみに2位が長崎県となっています。



具雑煮




鰤は鍋物、刺身、焼き物、煮物、シャブシャブなど多様に調理され食べられていますが、とりわけ長崎の「具雑煮」や福岡の正月の膳にあがる雑煮には鰤は切っても切れない存在です。
長崎の雑煮は「具雑煮」といって、大根・いりこ・干しナマコ・ブリの塩身・鶏肉・かまぼこ・椎茸・人参・ぎんなん・高野豆腐・くわいなど具沢山の雑煮として有名です。



結詞



今年は野球のワールドベースボールクラシックやラグビーワールドカップでの日本代表(侍ジャパンやブレイブ・ブロッサムズ)の活躍もあり巷は盛り上がっていました。



今年は久しぶりの行動制限のない冬を迎えていますが、新型コロナウィルスは減少傾向ですが、昨年まで鳴りを潜めていたインフルエンザやプール熱などの感染症の拡大が懸念されます。

感染予防の基本は守りながら、寒いながらも楽しい冬を過ごしたいと思います。
これから万事せわしなくバタバタとし始めますが、くれぐれもご自愛の上2023年を乗り切りたいものです。



熊蟄穴 くまあなにこもる




また少し前まで「巣ごもり」などの言葉もあちらこちらで聞かれましたが、七十二候は大雪の次候「熊蟄穴(くまあなにこもる)」と進んでいきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました